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「明日俺も一緒に学校に行くよ。陽菜ちゃんが好きな西島君がどんなやつか見てみたいし」
「……はい。私も賢治さんが一緒なら、頑張ってみようって気持ちになります。西島君にもちゃんと謝りたいし。あ、西島君に変な事言わないでくださいね。賢治さんはここでは私と無関係の天狗なんだし」
「わかってる」
ちっとも天狗になった感じはなかったが、そのへんはどうでもよくなった。真っ裸がデフォルトのガラッパよりは、天狗のほうがマシなような気がした。
深夜0時を過ぎるころ、陽菜の母親がほろ酔い加減で帰って来た。客人と一緒だ。陽菜の予想通り、白狐だった。稲荷神社のお得意様らしい。
賢治が「お邪魔しています」と緊張気味に挨拶すると、母親は上機嫌で居間に布団を敷き、風呂をすすめてくれた。
「天狗様に会うのは久しぶりだな。ゆっくりしてって下さい、狭い家ですが」
やはり自分は天狗らしい。陽菜は笑いながら、「いつもの母親です」と教えてくれた。
久々の風呂を満喫し、賢治は毛並みのいい白狐の隣で、その夜はぐっすり眠った。
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