HOME ~この空の下で~

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「心配してくれてありがとうございます。でもこれは私の問題だから、立ち入らないでくれたほうが有難いです。賢治さんは、万が一ガラッパによそ者だってバレた時のためのボディガードなんでしょ?」 「ああ、……そうだね。そうだった」  いつの間にか陽菜の保護者のような気になって、勝手にヤキモキしていた自分に気づく。  女の子とは不思議な生き物だと賢治は思った。出会った時は小さくてか弱くて、何もできない小動物に思えたのに、今目の前にいる陽菜は、何か吹っ切れたように真っ直ぐ前を向いている。 「なかなか手ごわそうだな、沙也加って子。でも陽菜が悪いわけじゃないんだから、気にすることないよ」 「はい。だけど撮影が中断したことは私のせいでもあるし、何とかしなきゃと思ってます」 「西島って奴は、あれだな。女子に太刀打ちできるほど強くはないが、ちゃんと周りが見えてる。悪い奴じゃなさそうだ」 「当たり前じゃないですか。悪い所なんてないです。ちょっと気の弱いところも含めて好きなんです。……でも、バレちゃって普通に話なんて出来なくなっちゃいましたけど」 「あきらめるな陽菜ちゃん、俺、力になるから」 「ありがとうございます。でも、もう充分ですよ。そばに居てこうやって励ましてもらえるだけで」  陽菜はサンドイッチを食べ終えてコーヒーを一気に飲んだ後、にっこりほほ笑んだ。
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