HOME ~この空の下で~

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「さっきね、ちょっと気づいたんです。沙也加もきっと、西島君の事好きなんだろうなって」 「え、さっきそんなシーンあったっけ」 「西島君に話を振った時、きっと彼が同意すると思ったんじゃないかな、沙也加。でも西島君が、私の責任にしないで、沙也加の事うるさそうにしたのが、すごくショックみたいだった」    陽菜の観察眼に賢治は恐れ入った。それとも女子と言うのは常にそういう微妙な表情を読み取りながら生きているものなんだろうか。 「私なんかが西島君を好きって事が、沙也加的にはすごくおかしくて、昨日はきっと、ちょっとみんなの前でいじってみたかったんだと思う。でも私が過剰反応しちゃったから、あんなことになって……」 「それひどくね? なんか沙也加に見下され感漂ってるじゃん。西島もちょっとビビり気味だし」 「それなんですよね。きっと沙也加もプライドがあって、告白とか出来ないでいるんだと思う。入学当時から西島って呼び捨てにして、男なんてガキだからって、そんなスタンス取ってる子だから。一瞬でも西島君に庇われた私の事、今すごく憎たらしく思ってるんじゃないかな」 「陽菜ちゃん、……冷静に分析してるけどまさか、西島を諦めるとかじゃないよね。それ間違ってると思うよ」  陽菜はにっこり笑って立ち上がり、スカートのホコリをパンとはらった。
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