HOME ~この空の下で~

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「私ね、この世界がいったい何なのか、昨日寝ながらずっと考えてたんです」 「え……。この世界? な、なんだったの?」 「まだはっきりとは分からない。でも、分かりかけて来た気がして……。だから、とにかく行動してみようと思うんです。そのうち、答えが見えてくるような気がして」  さ、教室にもどりましょ、と陽菜は立ち上がり、歩き出した。昼休みは終わっていないが、賢治も小走りに後を追う。  この世界の意味。そんなことを賢治は考えてもみなかった。何かのはずみで落ちてしまった奇妙な世界。それ以外に何かあるとも思えなかった。  けれどいずれにしても、陽菜の前向きな表情の変化は、賢治には少しうれしかった。陽菜の言う通り、友達や恋愛は、自分が介入して解決するような問題ではないのだから。
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