HOME ~この空の下で~

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 教室にはほぼ全員が戻ってきていた。教室の後方には7人の男女が集まっており、遅れて入って来た陽菜を一瞥した後、また視線を逸らした。沙也加と西島が居ることから、例のBグループなのだろうと賢治は思った。 「ほら見て西島。これ最新の水陸両用ドローン。パパに急いで取り寄せてもらって、昼休みに学校に届けてもらったの。これで今日の放課後、また撮影再開できるよね。西島、操作に慣れてそうだから全面的に任せる。Bグループ、いい作品作ろうね」  沙也加は頬を少し紅潮させて、得意げに西島に30センチ四方のパッケージを渡した。陽菜が教えてくれたからか、沙也加の西島への熱い感情が賢治にも伝わって来る。   「凄いな、これ……。この撮影のために買ったのか?」  高性能ドローンに興奮しつつも、少し困惑気味に西島が沙也加を見る。 「陽菜が西島の壊しちゃったから仕方ないじゃん。気にしないで存分に使って。遺構だけじゃなくて、曽木の滝もこれで撮り直したらきっと大迫力だよ。楽しみだなあ」  いちいち癇に障る言葉を挟んで来るが、陽菜は少しほっとした表情になった。
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