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「沙也加、ありがとう。撮影の事、すごく気になってたんだけど、ほっとした。いい作品できるように頑張ろうね」
「は? 陽菜も来るつもり? 来なくていいよ別に」
その一言は教室を一瞬凍らせた。
西島に頬を染めて喋る沙也加に、なんだ女の子らしいとこあるじゃないかと一瞬思ったことを賢治は後悔した。思わず「なにを~?」と一歩前に踏み出しそうになった。
「行くよ。なんで? Bグループの作品じゃない」
けれど陽菜の言葉は冷静だった。賢治は踏み出そうとした足を戻す。
「撮る位置とか昨日確認できたから、そんなの必要ないのよ。陽菜だけじゃなくてさ、昨日行くの面倒くさがってた人たちはみんな来なくていいよ。西島と私と、あとノン子と麻衣で行くし」
沙也加は平然と自分の取り巻き女子の名を上げる。西島を含め、Bグループの男女が険しい表情になった。
「なんだ俺ら必要じゃねえの? 昨日行って損した」
「いつ沙也加が監督になったの?」
「撮影に参加しないって、じゃ、あと何すんの? 俺ら」
一瞬で教室内の空気は変化し、不満の矛先は沙也加に向いた。
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