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おもしろい子だ。
この世界が何なのか分かりかけたと言い、全力で学校生活に向き合う一方で、帰る事にも昨日からヤケに必死だ。
俺には見えないものが見えているんだろう。若いっていいな。そんな事を思いながら賢治は鍵をポケットに滑り落とす。不意にガサッと駐輪場の影から音がした。
振りむくと、去っていく陽菜の後姿をじっと見ている2匹のガラッパがいた。 賢治の視線に気づいたのか、2匹同時にこちらを見て来た。同じクラスのガラッパなのかそうじゃないのか、まるで見分けがつかない。ひやりとしてとりあえず小さく会釈をすると、2匹はゆっくりと視線を逸らし、そのまま校門の外に消えて行った。
聴講ガラッパではないのかもしれない。陽菜と自分の会話を聞かれたのだろうか。
とにかく、よそ者だとバレたら陽菜が危ない。これからはもっと慎重にしなければと思いながら、賢治は教室に向かった。
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