HOME ~この空の下で~

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「ガラッパは怒りっぽくてプライドが高いけど、三日もすれば怒りはひくと聞いたことがあります。最悪、それまで頑張ればなんとかなります」  腹をくくったように西島は言うが、三日もこんな所に居てはみんな干からびてしまう。 「あとは、他にもっと彼らを怒らせる何かが別の場所で起きれば、そっちに気を取られる思うんですけど」 「でも西島、このタイミングでそんなヘマ打つ奴いないだろ」  メガネが絶望的に言う。女子の一人は泣きだしてしまった。外から鈍器で叩いたり投石する音は、さらに激しくなる一方だ。  男子3人はバリケードであるロッカーを、体を張って無言で押さえ続け、賢治は別のロッカーから出て来た角材を持ち、万が一に備える。 ―――このまま諦めてガラッパたちは帰ってくれないだろうか。  けれども外からの攻撃の音は30分経っても収まる気配は無かった。教師陣が警察か機動隊に連絡して助けてくれる気配もない。  陽菜、とんでもない事になっちまったな……。賢治が途方に暮れた目を陽菜に向けた時だった。陽菜のスカートのポケット辺りがぼんやりと光りはじめたのだ。陽菜も賢治の視線の先を辿り、ハッとして顔を上げる。  華京院の水晶だ。
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