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いきなり大きなドンという壁を突き抜けるような大きな音が響き、バリケードを支えていた男子3人が大きくよろけた。
光が射しこみ、割れたガラスの向こうに赤い目をしたガラッパたちの顔が見えた。女子4人が悲鳴を上げる。もういつでもガラッパたちは資料室になだれ込める。
「ガラッパ!」
突然大きな甲高い声が響いた。一瞬辺りがシンとする。
声の主は陽菜だった。すっくと立ちあがり、光る水晶を握りしめたまま、廊下側の施錠に手を掛け、赤い目のガラッパたちを睨みつけているのだ。
「陽菜ちゃん」
賢治が生きた心地もせずに名を呼んだが、陽菜は真っ直ぐガラッパたちを見据えたままだ。
「ガラッパ。ちょっと悪口言われたくらいで徒党組んで仕返しに来るなんて、恥ずかしくないの? 暇なの? 暇なのね? よし分かった、そんならもっと面白いものを見せてあげる。みんなこっちにいらっしゃい」
そう言うなり陽菜は入り口のドアのカギを開け、大きく開け放った。廊下側に居た4匹のガラッパも陽菜の気迫に驚いて一瞬ひるむ。陽菜が握っている水晶を恐れているようにも見えた。
「小宮!」
西島の声がしたが、陽菜はそのまま廊下に躍り出た。もちろん賢治もそのすぐ後を追う。賢治にしても、何かを決意した陽菜の行動を止めることは出来なかった。
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