三章

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「え? トーマくん!?」 梨未ちゃんの声はひっくり返る。恐る恐る舞に視線をやると、彼は凍り付いたように固まっていた。 「ど、どーしたの!? 頭打ったの?」 彼女の言葉に悪気があるのかどうかはわからない。でも興味はなかった。 「あ、いや、似合わないって意味じゃなくてね!?」 僕は拳を握りしめて舞の言葉を待つ。 「珍しいことがあるものですね」 背中が急激に冷えた。その場に、立ってられなかった。僕は一目散に自分の教室に戻る。 「似合う」の一言を望んでいた。他でもない、舞に。 期待した僕が、間違っていた。僕が「女の子」になれるはずがないのに。
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