一章

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中学三年生の誕生日。身長が180センチメートルになった記念に、髪を切った。腰まであった髪を、バッサリと。 一年後、僕は今日もファンの女の子から手紙や差し入れのクッキーを貰う。 「トーマくん! 好きです!」 この学園で「好きです」と言われた回数が一番多いのは間違いなく僕だろう。僕は惜しみなく目の前の女の子に笑顔をプレゼントする。 「ありがとう! 僕も……大好き」 キャー! と黄色い声が教室の廊下いっぱいに広がる。この声、僕は大好きだ。 「やい、トーマ」 後ろから僕の頭を小突くのは、幼馴染の与謝野(よさの)だ。彼は僕より二センチ程、背が低い。
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