四章

1/3
49人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ

四章

次の日。朝七時半の教室に、ネクタイをキッチリ締めた舞が入ってくる。 「待ってたよ! 舞」 「全く、朝っぱらから呼び出して何ですか貴女は」 舞は文句を言いながら教卓の上に座る僕の脚に目を留める。 「今日は女装じゃないんですね」 「柄じゃないからね」 僕は笑みを浮かべながら教卓を降り、舞に向き合った。自信は充分だ。 「僕は君が好きだ」 舞が腕を組みながら不敵に微笑む。 「……私の好みは女性らしい人なんですがね」 「僕は舞の好みの女性にはなれそうにないけれど、僕にはそれが無くても充分以上に魅力があるだろう? 僕の彼氏にならない? 後悔はさせないよ」 悠然と微笑む僕の顔を見て、ついに舞は声を立てて笑い出した。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!