三章

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僕は意気消沈しながら、自分の席に座る。 「当麻。自分の弁当、俺の席に忘れてんぞ」 与謝野が僕の頭に空の弁当を乗せた。 「あぁ、ありがとう」 「……あのさ。お前可愛くなりたいの?」 「……どういうことだよ」 「お前さ、今まで男の格好してチヤホヤされて喜んでたじゃん。仮に舞の好みの女になったところで維持できるの? ていうかお前今さら数多の女子より可愛くなれるの?」 正直、自信は無い。僕は「王子」だから。今から普通の「女の子」に戻るのは難しい。それに僕はそれを望んでない。 「お前、あんまり無理しない方がいいと思うぜ。先生に怒られても女装できないくらい我が強いんだから」 僕の身体に忘れていた自信がみなぎった。 「梨未ちゃんには、可愛らしさじゃ及ばない。けど格好良さで勝負するなら、彼女は到底……僕には敵わない!」 この、自意識過剰が。と与謝野が口角を上げた。
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