結末、未だ遥か遠く

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「……」  雲で閉ざされた、赤くなった空を仰ぎ見る。  星はおろか、太陽も月も視認することはできない。世界を滅ぼすとは、そういうこと。  希望も、絶望も、等しく全てを無に還す。  滅んだ世界は、長い永い時をかけて、また再生する。  侵略され、そして滅ぼされただけで世界は終わらない。また新しい生命が芽吹き、未来へ向かって文明を築き上げていくのだろう。  滅ぼしたことに後悔はない。それをしてしまったら、殺した世界への冒涜になってしまうから。  ……でも、少しばかり謝罪の気持ちと、再び生まれてくる者たちへ、ささやかな祝福を。  ここで僕たちに出来ることは、何もない。できるのは、侵された世界を、ゼロに戻すことだけだ。導くことも、救うことも、望めない。  だから、後はこの世界を信じるだけ。また新しい時代が来てくれますようにと、願うだけなのだ。
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