結末、未だ遥か遠く

7/8
前へ
/14ページ
次へ
「術式展開完了、っと。よーしレギト、今回は派手に移動するぞ」 「え。ええと、それは……一体どんな意味が?」 「自己! 満足!」 「断言した……!?」 「私がやりたいと思っただけさ。っつーか、意味なんてどうでもいいんだよ! 後悔なくやり切れるなら、意味なんて無駄なんだからなぁ!!」  思い切り暴論を言い放ちながら、魔力の流れが加速する。  木でできた長杖の頭にはめられた鉱石が光り、魔術の行使が促されていく。  青い彼女も、魔力の高まりと同時に、その姿を本来のものへと変えていった。 「――さぁ行こうか勇者。世界を滅ぼす旅へ」 「ほどほどに、ね」  青い鱗と、銀翼を持った魔法使いに触れる。威容を誇る姿は、人間を模した此方の背丈など遥かに越えていた。けれど、それで彼女の何かが変わるわけでもない。  刹那、大地に展開された魔法陣と、天を覆っていた紋様が呼応し合う。――神秘が、この世に発現する。  金の光が視界を埋め尽くす。  天地を貫く光槍となった彼女の背に乗って、時空の先へ、先へと進んでいく。 「……派手に移動するって、こういうこと? 君、優しい所があったんだ」 「なぁに、竜のささやかな気遣いってやつさ。これからの世界が、日の光を知らずに生きるなんて、損なことだと思わないか?」
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加