0人が本棚に入れています
本棚に追加
テスト期間が終わった後って一番幸せ。何しろ勉強をそんなに切羽詰まってやらなくていいんだもの。
勉強勉強、とは言ってるけどやっぱり休まなくてはね、と自分に都合のいい言い訳を自分にしながら家に帰ってベッドに寝転がってSNSをチェック。
私が慌てて勉強するのは大抵テスト2週間前くらいから。それでも、きちんと毎日勉強はしているし、人並み…いや、それ以上はしていると思うのだけれど。
「志保、ちょうどよかった。これ、今から鈴原さんの家に持って行ってくれない?」
ドアのノックもせずにお母さんがズカズカと私の部屋に入ってきてにこやかに一枚のプリントを渡してきた。
ええと…んんと………えっ、今から?
えっ、しかも鈴原さんって恵美じゃん。このタイミングで?…ちょっとわけわからない。
「あのですね…成績表が返ってきて私は心が痛いのでお母さんが行ってくれると非常に助かるのですが……?」
何故か敬語になってしまったのはまあいいとして。
「私はほら、夕飯作ったり忙しいから。」
…それは正論だけど。んんん、とベッドに正座をして困り顔を作ってみせる。実際困ってるし。
正直、今顔合わせたくないし。
「だいたい今日の朝渡してくれればよかったじゃない…明日じゃ駄目なの?」
今日渡す意味がわからない、とまた再度背を向けてベッドに転がろうとしたけれど、お母さんは力づくで私を引っ張りだして…
気がついたら家の玄関前にいた。
最初のコメントを投稿しよう!