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文字は次の文字を呼び出す。思考に文字を当てはめるのではない。文字が文字を呼ぶとは体と思考のリズムが一致しているということで、そうでなければ人間は文を書けないということである。スマートフォンの入力が相当の訓練をするまで文が書けないのは、思考に文字を当てはめようと没頭するからである。体のリズムと一致するということは、およそすべての文は、論文であろうと誹謗中傷であろうと、ひとつ残らず歌だということである。これはどの時代でも変わらない。
それなら歌と認めなければなるまい。おそらくこの使い方をしても弊害はあろうが、ペンが進むに任せる、体も頭もペンに操ってもらうほかないことははっきりした。年をとって、人に考えを伝えるという欲望が枯れた者にはこのくらいがちょうどいい。波を起こしてまで言いたくなるような思想はない。
わずかな波動でゆっくり進んでいくシンキング・ペンシル、やかましい主張に食傷気味の者だけがその後を追う。
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