〇三姉妹

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 泉はボリュームのある、茶色いショートのクセっ毛を包んでいた頭巾をとった。  妹ふたりを見る黒目がちな大きな瞳には、優しい光が宿っている。  末っ子の和香はウェーブのかかった、長い髪を揺らしながら椅子に座り「ごはーん♪ごはーん♪」と足をぷらぷら前後に振っている。  切りそろえられた前髪の下には、濡れた黒曜石もかくやという黒く大きな瞳がぱっちりと開かれていた。  その横には茶色い長毛の大型犬が床に伏せていた。  垂れた耳、アーモンドのような理知的な瞳。  優雅に左右に揺れるふさふさの尾。  ゴールデンレトリバーのようだ。  「さて、朝ごはんできました!いただきます!!」  席についた泉が、大きな声で文言を唱え手を合わせると、妹二人も手を合わせ、おなかをすかした子犬のように朝食を食べ始めた。  年頃の三姉妹の食欲は気持ちの良いもので、ものの10分も経たず、テーブルの上にあった朝食は全て綺麗に無くなっていた。  早百合が、コーヒーに牛乳を足して飲み一息つくと、ほんの少し頬をふくらませて言った。 「(いずみ)お姉さま、何故(なぜ)起こしてくださらなかったのですか」  小百合の言葉に、一瞬目を丸くしてから、呆れたように泉が答える。     
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