〇ワルツ

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 沈む小百合の目に、揺れる水面を透して満月の光が見えていた。  水の冷たさに我に返った早百合は、岸まで泳ぎ、濡れた長い髪を引きずり這い上がった。  泉と和香が、よろよろと歩み寄るずぶ濡れの早百合を受け止める。  早百合は二人に身体を預け小さく嗚咽したあと、呼吸を整えると、遺構の浮かぶ湖面一面とそれを囲む山々にまで響く大きな声で泣いた。  「早百合ちゃん、大丈夫よ、大丈夫。だけど辛かったね」  「小百合お姉ちゃま、さっきまでお姫様だったのに、河童になっちゃったネ」  泉と和香が、早百合の濡れた背中をさすりながら言った。  三姉妹の見上げる空には、眩いばかりの満月が煌々(こうこう)と輝いていた。
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