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昼休みになると、決まって私は教室を出ていた。
とにかく、独りになりたかった。
入学当初に気に入っていた中庭や校舎裏は、今や一軍の同級生に占拠されていて、今の行きつけは図書準備室。お弁当を食べた後は図書室の本を物色できるし、毎日ここで過ごすのが日課になっていた。
食べ終わり、いつものように本棚の間を散歩。今度はミステリーでも読もうかと、手を伸ばしたその時。
ーーーガラッ
私の空間に、侵入者がやって来た。慌てて、本棚の陰に隠れる。
姿は見えないけど、声からすると男女1名ずつだった。
「ホラ、誰も居ないじゃん!」
「いや、誰か来るかもしんねェし、」
「大丈夫だって」
早く早く、と強請るような声を出す女子生徒。
嫌な予感がしたので、早くその場を離れようと、コッソリ図書準備室に戻る。鞄を持って外に出て、扉に向かうと、見たくもない現場を目撃してしまった。
男子生徒が女子生徒を押し倒し、貪るように唇を合わせている。彼の右手は、彼女のブラウスの裾から中に差し込まれ、胸のあたりで蠢いていた。
「ぎゃっ、、!」
初めて見たその光景に、思わず声を上げてしまい、慌てて両手で口を塞ぐ。
振り返った男子生徒と目が合う。
それは、隣の部屋に住む美青年だった。
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