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「あっ、濱岡さ~ん!」
教室に入ってすぐに声をかけられた。こういう時は、だいたい頼まれることは1つ。
「おはよう!宿題やってる?分からないところがあって、見せて欲しいんだけど」
いわゆる一軍女子がニコニコと声をかけてくるときは、「宿題見せて」か「掃除当番代わって」に相場は決まっている。
「別にいいけど」
鞄からプリントの束を出すと、奪うように受け取る彼女たち。お礼も言わず、丁寧に1問目から写し始めた。
じゃあ初めから、やってないから写させてって言えばいいのに。くだらない。
1ヶ月以上の夏休みがあって、どうして宿題ができないのか、理解に苦しむ。宿題が白紙で休みが終わってしまうなんて、どれだけ遊んだらそうなるのか。学生の本分は何だと思っているのか。
そんなことを考えていると、やっぱり友達を作ろうとは思えない。独りの方が有意義に過ごせるし、良い大学を出て、良い仕事に就きたい。
そういう意味では、母親という反面教師には感謝していた。
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