コケシと美青年

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「年は?」 「数えで17」 「なんだ、一緒じゃん。何月生まれ?」 「1月」 「じゃあ俺が上だな」 日常的にパシってやろう、なんて言いながらニヤニヤする美青年。 「あ、あの、」 この人は、私と仲良くするつもりなんだろうか。私は出来るだけ独りになりたいし、時間を共有するつもりはない。 「私、人付き合いとか苦手なので、あんまり話しかけないでください」 先に壁を作っておかないと、私のテリトリーに入って来られたら困る。 「お母さんの再婚には反対しないし、総二さんも良い人なんだろうけど、私は誰とも馴れ合うつもりはないので」 そこまで言って、言い過ぎたかなと思った。美青年の気配が変わった気がしたから。 「ンだよ、別に名前と年訊いただけだろ。お前、友達もいねェの?」 「いないけど」 「ふーん」 ーーーだから、俺と話す時、ビクビクしてんの? ドンッと壁側に追い詰められる。思わず、目を逸らした。 「人に免疫がねェから、勿論オトコにも免疫ねェってことか」 そう言って笑ったかと思うと、顎を掴まれ、無理やり目線を合わされる。 そして、唇を奪われた。 「…ちょっ!何して…!」 力任せに突き飛ばしたつもりだったけど、相手は男の人で、ビクともしなかった。 「面白いな、お前」 至近距離で微笑うと、彼は階段に姿を消した。 ーーーこれから、楽しみだな。 そう言い残して。
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