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初めての友達
その日はあまりよく眠れなかった。
一応、ファーストキスだったから。
そんな事をいちいち気にするタイプでは無いけど、まさかこんなところで奪われるなんて思って居なかった。ドキドキして、と言うよりはビックリが勝っていた。完全に。
眠い目をこすりながらリビングに向かうと、今までの日常通り、誰も居なかった。
総二さんは病院勤めの外科医で、お母さんは今日もおそらく朝帰り。アイツはまだ寝ているんだろう。
胸を、撫で下ろす。
一人暮らしのようだった私の生活は、どうやら今後も侵されないようだ。
いつも通り1人分の朝食とお弁当を作る。朝食を摂り、洗い物もさっさと済ませた。
玄関のドアを開けて外に出ようとした時、2階から音がした。
ーーーガチャ
ドアが開く音。アイツが、起きたようだ。
もう、遅刻する時間帯だけどな。
そんな事を思いながら、私は駆け足で逃げるように家を飛び出した。
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