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コケシと美青年
「ウソ、今日から2学期だっけ」
制服を着てリビングで朝食を摂る私を見て、お母さんが呟いた。
お母さんは、駅前で小さなスナックを経営している。お店を閉めた後、どこに行っているのかは分からないけど、大抵の日は朝帰りだった。
派手な赤みがかった茶色の巻き髪、長いピンクの爪。年齢の割には確かに綺麗だとは思うけど、その丈のワンピースはナシだと思う。
母親の姿を一瞥して、私は食器を流し台に運んだ。
「あんまり時間ないから、洗い物だけよろしく」
じゃあね、と家を出ようとすると、突然手首を掴まれた。
「アンタ、学校の後、まっすぐ帰ってらっしゃいね。母さん、話があるから」
ーーーまた再婚するのかな。
私は内心そう思っていた。流石に4回目となれば、もう予想はつく。それにしても、よくもそんなにバツばかりついた女を好きになる人がいたもんだ、と感心さえしていた。
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