ドラキュラ王子

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ドラキュラ王子

文化祭当日。朝早くの実行委員の集まりを終えて、教室に行くと、一軍女子が駆け寄って来た。黒やピンク、水色などの色とりどりのメイド服に身を包んでいる。太ももまでのヒラヒラのスカートは、目が大きくて肌が白く、細身の彼女たちにはよく似合っていた。 「濱岡さんにも、ピッタリの衣装があるから!」 そう言って押し付けられたのは、赤色の浴衣だった。 「絶対似合うと思うから!ね?」 クラスの何人かは、既に笑いが堪えられなくなっていた。 ハイハイ、まさにコケシになれってことですね。 私は無言でそれを受け取って、着替え用に作ったバリケードの中に入った。浴衣の着付けは、水商売の母親の教えのお陰で会得していたので、自分ですんなりと着ることができた。 私がそれを着て登場すると、本当に着るとは思っていなかったのか、ほとんどのクラスメイトが絶句していた。 どうせ着付けも出来ないだろうと思っていたようだ。 内心、ざまあみろと得意気になった。
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