拝啓。

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この手紙を読んでいるという事は、 貴方にはまだ文字を読めるほどの知能が残っているという事になりますね。 もしくは、間違えて他の人物に届いてしまっているのかもしれません。 その場合は、この手紙を読まずに破棄して頂けると幸いです。 彼の愚行のみならばまだしも、私自身の痴態を晒す事にもなりますゆえ。 単刀直入に言いましょう。 私は貴方の事が嫌いです。 たとえ世界中の誰もが貴方を称えようとも、 私は貴方の事が大嫌いです。 私は貴方の言動が嫌いです。 私は貴方の仕草も嫌いです。 貴方の顔も素性も気遣いも、 どれもが私の(しゃく)に障ります。 貴方が別れ話を持ち出した時の態度も酷い物でしたね。 別れた後に一度、話をし直そうとした時の第一声もまた酷かったですね。 仮にも人生の一時(ひととき)を共に過ごした相手に向かって、 「こっち来んな」と一喝するような阿呆が何処に居ますか。 まったく、呆れて言葉が出なくなります。 こんなにも鬱陶しい気持ちになるのであれば、 最初から貴方とは出会わなければ良かったと思うくらいです。 貴方のお望み通り、今後一切貴方に関連する物事全てを放棄します。 貴方もまた、私の理解しがたい貴方自身の世界で 自由気侭に優雅にお過ごしください。 尚、この宣言の決意は、 少なくとも目の黒いうちは絶対に揺らぎませんので。 だから、早く成仏しなさい。 天寿を(まっと)うしてやるから、 その時にまた会いましょう。 ありがとう。 さよなら。  - 終 -
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