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翌日、僕の包帯を見た真夏は駆け寄る。
「勇二! その手どうしたん!?」
僕の手を見た真夏は、驚いた顔で飛びついた。
「大丈夫だよ。それより今日放課後、視聴覚室で待ってるよ」
僕はある事をするために、視聴覚室へと真夏を呼び出した。
秘密の上に、更に秘密を重ねるために。
++++++
「勇二、いる?」
放課後になり、視聴覚室の中で待っていると、真夏は少し遅れてきた。
真夏は慎重に扉を叩き、中へ入ってくる。
僕は笑顔で迎え、鍵をかけるために扉に近付いた。
真夏に背中を向けると、後ろから抱きしめられる。
「真夏、まだ鍵閉めてないよ」
僕は体に回された、真夏の手を優しく撫で、鍵を閉める。
「秘密だよ」
「秘密ね」
そう、僕達は血のつながった兄妹。
だけど、お互いに相手を愛している。
秘密の共有、それは日ごとに増えていき、学生時代の良い思い出になるだろう。
秘密は愛の数だけ。
僕と真夏の愛はどれくらい膨らむだろう。
もう寒くなる時期、人肌が心地良い。
秘密という度に、甘い気持ちになる。
「真夏、秘密だよ……。僕の好きな人は――」
誰にも本当の事を言わない、僕の秘密。
++END
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