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第2話 女騎士
「なっくーん、目的地はー?」
「特に決めてねぇから、とりあえずユスティールに行くぞ」
アラヴェスタを出たナポレオンたちは、隣の市場都市・ユスティールに行き、食料調達をすることにした。隣であるとはいえ、ユスティールまで歩いて半日はかかるので、今夜はそこで宿を取って泊まることになるだろう。その事をレオンに伝えると彼はぶうたれた顔をした。
「えー、歩くの?だるー」
「文句言うな!歩くのが嫌なら移動手段になる何かを描けばいいだろ?」
「んー、描くのもだるいー」
「尚更文句言えねぇじゃねぇか」
ナポレオンは武術等で体を鍛えているので、歩いてユスティールに行くのは苦にならない。
一方、レオンは元引きこもり画家なので、体力がない。魔力は有り余っているのだが、極度のめんどくさがり屋なので、文句だけは一丁前だ。ナポレオンはそれを分かっているからこそ思った。
(俺、一緒に旅する人、間違えた気がする…)
ナポレオンは歩く気のないレオンの腕を掴んで引きずり、少しずつでもユスティールへの道を進んでいく。しかし、レオンがあまりに五月蝿いので、ナポレオンはくるっと後ろを向いて怒鳴った。
「レオン、五月蝿え!いい加減にしろよ!」
「だって、僕、すぐ疲れちゃうんだもん。もう既に僕の体力、限界に近いよ」
そう言って、レオンは掴まれていた腕を離し、その場に座り込んでしまった。流石に可哀想に思い、ナポレオンはため息をついてしゃがみ、レオンの足に手をかざした。
「……しょうがねぇな。ルートリアム」
ナポレオンが呪文を唱えると、レオンの靴がキラキラと輝き始め、小さな翼が現れた。それを見て、レオンは立ち上がって、感嘆の声をあげた。
「おお!すごい!僕、浮いてる!」
「その翼が勝手に移動したい方向に動いてくれるから、体力使わない。これでいいだろ」
「ほほー!なんて楽なんだー。なっくん、ありがと」
すいすいと楽しそうに空中を滑っているレオンがあまりに子供っぽくて、ナポレオンはくすっと笑った。
「ほら、行くぞー」
「はーい」
*
同時刻、ユスティール内、クラン聖堂で一人の女が神に祈りを捧げていた。
「神よ、私に新たなる道標をお与え下さい」
はっきりと透き通った美しい声と胸辺りまでの長さの金髪を一つにまとめて結っている所は女らしいといえるだろう。
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