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茶色のズボンにクリーム色のワイシャツを身に纏い、腰には長剣を身に付けている。そして、十字架のペンダントを首から下げている。その格好は誰がどう見ても騎士である。
「『ユスティールに来た冒険家を探し、仲間になれ』と?随分と変わった運命を歩ませるのですね」
周りの人間には一人で話しているようにしか見えないが、彼女には神の言葉が聞こえているのだ。それは強い信仰心を持ち、神に選ばれし者だけに与えられる力である。
その力で女は神と対話を続ける。
「え?嫌ではありませんよ。貴方様の仰ることは私の全てですから。道標を与えて下さり感謝致します。我らの行く未来に祝福が訪れますように、アーメン」
*
ナポレオンたちはそれから順調に進み、ユスティールの入り口である大きな門の前まで来ていた。
「よーし、このでかい門から中に入るぞ」
ユスティールは市場都市なので、様々な商売が行われ、商品が一般的なものから希少なものまで取り扱っている。そして、その希少な商品を盗む輩がかなりいるので、厳重な警備がなされている。それ故に通行証や入国証など、市民ではない者達はユスティールを統治するユスティニアヌス卿に認められなければ都市に入ることすら許されない。一度発行してもらえれば、出国する時に証明証を返せば何度でも使うことができるというシステムだ。ビストリア帝国の一都市ではあるが、ある意味一つの国として存在しているのだ。
ナポレオンたちは入国証を取りに門の横の受付にやってきた。
「すみません、入国証と通行証、新規一人お願いします」
「入国されるだけじゃなく、通り抜けもされるということですね。かしこまりました。では、お二人の名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「あ、はい。ナポレオン・ボナパルトです」
「レオナルド・ダ・ヴィンチだよー」
「………………………………すみません、もう一度お名前よろしいですか?」
「え、はい。ナポレオン・ボナパルトとレオナルド・ダ・ヴィンチです」
「え?え?」
動揺を隠せない受付嬢にレオンが魔法の筆を出し、ニヤリと笑った。
「信じられない?なら、僕の絵で証明してあげるよ。…ほいっと」
空中に美しい薔薇の絵を描き終えたかと思えばレオンが絵を触ると瞬時にそれが本物の薔薇になった。
「はい、あげるー」
「あ、ありがとうございます……」
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