第3話 作戦会議

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 殿下と呼ばれてナポレオンはむすっとしてジャンヌに告げた。 「ナポレオンでいい。仲間なんだから」 「でも……」  ナポレオンは「殿下」と呼ばれたり丁寧な言葉遣いをされるのが好きじゃない。だから、アラヴェスタの皆には_中には殿下と呼ぶ人もいたが_友達と話す時と同じように接してもらっていた。ジャンヌにそう話しながら、柱に突き刺さった剣を抜き、彼女に向き直る。 「てな訳で、今後『殿下』なんて呼びやがったら、俺もレオンと同じように『ぬーちゃん』って呼んでやる!」 「や、やめてください!!もう殿下って呼びませんから!」  断固拒否するジャンヌを見て、ナポレオンは面白がってくすくすと笑いをこぼした。すると、ふざけている二人の後ろから眠たそうな声が聞こえてきた。 「ふわぁああ……。おはよー、二人とも早いねー」  朝ごはん食べよーよ、とレオンが筆を出して朝食に食べたいものを描き始める。そして、彼が触れると手にはたまごサンドが現れ、それをむしゃむしゃ食べ始めた。  ジャンヌはその不思議な筆の噂は耳にしていたが、実際にその光景を見ると、凄い、の一言しか出てこない。 「レオンの筆は噂通り凄いんですね」 「んー?そうかな?あ、ぬーちゃんも何か食べる?」 「いただきます。あと、その『ぬーちゃん』をどうにかして欲しいんですけどね」  レオンはジャンヌの言葉を聞き流して、たまごサンドを口にほうばり、ナポレオンとジャンヌの朝食とテーブル、椅子を描いてから話題転換した。 「でさー、聖女の涙を目指すんだよね?」 「ああ。だが、調べておかなきゃいけないことがいくつもある」 「調べておかなきゃいけないこと、ですか?」 「ブリタン族とマザーテレサのことだね」  レオンの言葉にナポレオンは頷いた。 「俺たちは元エルフ族の秘宝を狙ってるんだ。今は人間が持っているといっても、ブリタン族がいつ取り返そうとしても不思議じゃない。現に、ブリタン族は独立国家を作って力を蓄えつつあるんだ、可能性は充分ある」  ジャンヌとレオンはナポレオンの話に確かに、と頷いた。 「そして、マザーテレサはまだ聖女の涙の守り手だと判明していないあやふやな状態だ。だから、彼女に会って探る必要がある」 「つまり、ユーテルシア大陸に行ってマザーテレサを探りつつ、ブリタン族の情報も手に入れるってことかー。精霊飛ばせるから、情報集めるのは僕にできるけど……」
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