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牧師の服に身を纏った眼鏡の司教様と呼ばれた男性が語ったおとぎ話を聞いて、ベットで横になる少女が尋ねた。彼は質問に笑顔で答えた。
「アダムとイブは人間が果実を食べた瞬間、消えてしまったと言われているよ。そして、聖女の涙は今も願いを叶えずに聖女に守られているんだよ」
「へぇ。じゃあ、エルフがまだまもってるんですね!すごーい!」
目をキラキラさせている少女に司教は哀しげに微笑んだ。
「いや、今は人間族が守っているよ。何百年も前からね」
「そうなのですか?ざんねん……」
「ああ。でも、昔はこの聖堂にあったって話だ」
その言葉に少女は驚きの声をあげる。
「このきょうかいに、ですか!?みてみたかったかなー。…………あっ、そうだ!」
何かを思いついたとでも言うように少女は大きな声を出して、司教に満面の笑みで告げた。
「では、おおきくなったらわたしがせいじょのなみだをとりかえして、ここにもどします!」
司教は一瞬目を見開いたが、すぐに微笑んで、少女の頭を撫でた。
「はははっ、頼もしいな」
そうして、少女に布団を掛け直した。
「さあ、ジャンヌ、もう寝なさい。また明日神様のお話をしてあげるよ」
「はい、おやすみなさい、しきょーさま」
「ああ、おやすみ」
そう言って司教は蝋燭の火を消し、部屋を出た。
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