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センターホーン大陸とユーテルシア大陸は五千キロも離れている。ナポレオンの話だと今すぐにでもユーテルシア大陸に入ってマザーテレサのもとに行き、彼女が守り手かどうかを探りたいと言っているのだ。それを実現するには転送魔法を使うしか方法はない。
しかし、レオンは転送呪文が大の苦手で使えない同然であるし、ナポレオンは転送呪文を使うことはできるが、せいぜい百から二百キロだ。
「今すぐにユーテルシア大陸に飛ぶのは流石に無理か……」
と思った矢先。
「できますよ」
ジャンヌが余裕の表情で発言した。ナポレオンとレオンは驚きの声をあげる。
「おいおい!ジャンヌ、五千キロだぞ!?分かってんのか!?」
「そうだよ、ぬーちゃん!いくらなんでも五千キロは難しいんじゃないかな!?」
「私には難しくもなんともありません。魔法と魔術において転送は私の得意分野ですから」
今すぐ飛びますか、と言うジャンヌに待て待てと男二人は聖堂内に戻って荷物を取りに行ってしまった。ジャンヌも二人に続き、荷物を取りに行く。
それから十分後、ジャンヌが彼女自身とナポレオン、レオンを囲む円を描いた。これであとは転送呪文を唱えるだけになった。
「よし、行くか」
「じゃあ、行きますよ。ユーテルシア大陸へ、アルファール!!」
そう言って、ジャンヌがパチンっと指を鳴らすと、目の前にあったクラン聖堂は忽然と消えた。
そして、今、彼らの目の前に広がっていたのは生い茂る木々、虹の架かる滝。空には鳥や蝶が飛び交っている。ナポレオンが書物で読んだ通りの光景がそこにあった。
「ここが、ユーテルシア大陸」
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