第4話 シェリーという女

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「汚らわしいですね、全く」 「なんだよ?姉ちゃん、やる気かぁ?俺に勝てるかなぁ!?」  そう言って男は容赦なくジャンヌに殴りかかってきた。その光景を見て周りの客や店員たちが悲鳴をあげた。しかし、ジャンヌは顔色一つ変えずに男の攻撃を見事に交わし、男が体制を崩すのを確認して、首に一発手刀をお見舞した。その勢いで倒れた男を見向きもしないで、手をパンパンっと鳴らして払いながら吐き捨てた。 「女だからって舐めてかからないでください」  そんな勇ましくかっこいいジャンヌの姿を見て、ほかの客たちが歓声をあげた。少し経って店内の雰囲気が戻ると、店のカウンターにいた少しぽっちゃりとした四十代半ばくらいであろう女性がナポレオンたちのテーブルへ酒と料理を持ってやってきた。 「いやぁ、かっこいいね、あんた。ほら、これ食べな。店の秩序を守ってくれたお礼だよ」 「あ、ありがとうございます。すみません、店の中で暴れてしまって……」 「いいんだよ!気にしないでおくれよ。あいつには迷惑してたんだ、すっきりしたよ!私はシェリー、この店のマスターやってるんだ」  シェリーと名乗った女性は朗らかに笑った。それから、ナポレオンたちは自己紹介をして、食べながらシェリーと話した。 「へぇ、あんたたち、マザーテレサに会いに行きたいのかい」 「ええ、彼女は徳の高いお方ですので、同じく神を信仰している私に神託をいただけないかと思いまして……」  まさか、「マザーテレサが秘宝の守り手かどうか確かめに行きたい」などと言えないので、ジャンヌが上手く理由を取り繕った。あくまで信仰のためであり、ナポレオンとレオンはその付き添いということにして、シェリーに話すと納得した表情をして告げた。 「なるほどねー。マザーテレサはここから北へ三百キロほど行ったコポポ村って小さい村にいるよ」  地図を持ってきてやるよ、と言ってシェリーが戻っていく。それを見送ってからナポレオンたちは小さな声で話し始めた。 「いきなり場所分かっちゃったね…」 「ええ、ここから三百キロ北ですか。かなり遠いですね。まあ、転送すれば問題はないですが…」 「とにかく、しっかり準備していかねぇと。途中でボロが出たら一巻の終わりだ」
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