第4話 シェリーという女

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 レオンが何かを感じ取って急に張り詰めた顔を見せた。ナポレオンがそれに気づき、尋ねると、レオンはこわばった声で答えた。 「一つだけ、風が消滅した…」 「なっ!?気付かれたのか!?」 「場所はシェリーさんの所。気付かれたのかは分からないけど、意図的に消されたという感じではなかった。だから、大丈夫だと思うー」  にへっと笑うレオンを見て、驚かせんなよとナポレオンとジャンヌはほっとした表情を見せた。  武器屋でしばらく過ごしたあと、冬用のコートや手袋を買い揃え、シェリーの店に戻って就寝した。  そして、翌朝、彼らは朝早くに出立をした。シェリーも見送りに来てくれて、昨日見せてくれた地図をナポレオンに手渡した。 「よかったらこれ、持っていきな。役に立つと思う」 「本当に何から何まで……ありがとう、シェリーさん」 「はははっ、いいんだよ!あんたたちとはなんだかまた会えそうな気がするよ」  シェリーがナポレオンに手を差し伸べ、ナポレオンはそれに応えるように握手を交わした。  別れの挨拶も済み、ジャンヌが転送呪文を唱えた。 「アルシード!!」  そうして、ナポレオンたちは突然雪景色の中に転送された。  __その頃、ヒュラト街では__  シェリーがナポレオンたちを見送ったあと、彼女は申し訳なさそうにぼそりと呟いた。 「すまないねー、レオナルド」  そう、昨日、レオンの風を消したのはシェリーだったのだ。その意図は分からないが、彼女の表情を見ると、探られるわけにはいかない理由がある事だけは確かだろう。  そんな彼女のもとに西洋風の看護婦の制服を身につけた茶髪の女性が近づいてきた。そして、シェリーを見た瞬間にため息をついた。 「ヘレン、またそんな姿でいるのですか……?」 「いいじゃないか。なかなか楽しいぞ?」  そう言って、シェリーだった女は二十代前半の女性の姿に変化した。看護婦の女性は呆れた声でシェリーだった女に告げる。 「はぁ……。貴女は私の魔術で目は見え、耳は聞こえているんですのよ?無理をしないで下さいとあれほど言っているではありませんか」  ヘレンは看護婦の女性に笑いながら話す。 「はははっ、分かっているさ。けれども毎日引きこもっていてはつまらないのさ。姿を変える魔法を使うのは楽しい。私の唯一の楽しみなんだ。だから、大目に見ておくれ、フローレンス」 「はぁ……、分かりましたわ」
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