第5話 ご対面

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レオンは彼にお礼を言うと、先程から気になっていた村のことを尋ね始めた。 「そういえばさー、この村、すっごい小さいし、人口も少ないよね?」 「ああ。この村は昔から住んでるやつしかいないからな。それがこの村の掟みてえなものなんだよ」 「掟かー。じゃあ、この村には色んなしきたりがあるの?」 「ほかの村に比べたらあるだろうな。神教徒(クリスティアーヌ)の村だから。そこの嬢ちゃんもそうなんだろ?」  クリスティアーヌは神を信じる神教(クリストル)の信徒のことだ。この世界は神によって作られ、人々は神から恩恵を受けていると考えており、神に感謝し、祀っている。この村は宗教村だったのだ。それを聞いて、レオンも納得する。 「なるほど、クリスティアーヌは血筋を大事にするって聞いたことがあるよ。それでこの人数の規模の村なんだね」 「ああ。そして、神に選ばれ、神と会話できるテレサ様がいる。だからここにクリスティアーヌの客人がよく来るんだ」 「ふーん……あ、ねぇねぇおじさん」  とレオンが唐突に話を変えた。なんだ、と返す。 「僕となっくんはぬーちゃんの付き添いだからさー、村の中を散策してもいい?」  村人が返答に困っていると、屋敷の扉が開くと同時に村人の代わりに女性の声が返ってきた。 「構いませんわよ」  振り返るとそこに二十代後半くらいのシスターの正装である真っ黒な装束に身を包んだ女性が立っていた。 「初めまして、ようこそいらっしゃいました。私がマザーテレサです」 「テレサ様、よいのですか?」  村人が困り顔で尋ねると、テレサは微笑み返した。 「ええ。用があるのはお一人だけなのでしょう?狭い村ですが、お好きに散策なさって下さい」 「やったー!ありがとうございますー、なっくん、いこー!」 「え、俺も行くのかよ!?まあいいけどよ。失礼します」 「あ、俺も失礼します、テレサ様」  そうして、屋敷の中にはジャンヌ、マザーテレサとテレサのメイドの三人が残った。 「さてと、ジャンヌさん、と言いましたか?お話を聞きましょう」
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