プロローグ2

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プロローグ2

 ユーテルシア大陸の一番北に位置する村・コポポ村では今日も雪が降り積もっていた。  降りしきる雪の中、村の中心では儀式の火柱が用意され、太鼓や笛が音楽を奏でている。  今日はその守り手_聖女の引継ぎの儀式が催されていた。現在の聖女が流行り病にかかってしまい、もう助からないと医者に診断されたためである。聖女自身も自分がもう長くないこと察し、自ら次代の守り手に引き継ぐように村長にも伝えたこともあり、急遽儀式が行われることになったのである。  聖女が次代の守り手として選んだのはわずか七つの少女。その少女は聖女にとって娘のような存在であった。  儀式の準備が完了する中、少女は聖女の控室になっている館にいた。  真っ白なロングドレスに身を包み、ベールを被り、そして、彼女の唇に真っ赤な口紅が塗られ、七つとは思えないほどの大人っぽさを(かも)し出している。儀式の正装であるが、どこかそわそわしている表情はやはり、年相応の子供っぽさがある。そこには似たような格好をした先代の聖女も一緒にいた。少女は不安と緊張で体を震わせた。 「セーラ様、私にこんな大役が務まるかどうかわかりません」  そんな少女を聖女_セーラは優しく抱きしめた。 「……まだ不安?」  セーラの言葉に少女はこくりと頷いた。何しろまだ七つの少女、村の聖女という神に等しい存在になるのだから無理もない。セーラは少女に優しく微笑んで言った。 「貴女は神を信じているでしょう?だから、貴方の運命は神が導いているの。まだ七つの子供だとしても、貴女が聖女になることは神の導き。みんな貴女を聖女と認めてくれる。大丈夫。私だって貴女と同じくらいの時に聖女になったんだもの」
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