5人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
プロローグ
むかーしむかし、あるところに神様がいました。
その神様はいつも一人ぼっちでした。そして、暇で暇で仕方ありませんでした。
そこで神様は、暇な世界を変えるために、世界を創りました。
山、川、海、森、星、太陽、月を創りました。天気も動物も創りました。
でも、神様は会話も何もない平穏な世界ではつまらないなと思いました。
つまらない世界を少しでも面白い世界にするために、神様はエルフを創りました。そして、要請、巨人、魔人を創りました。最後に人間を創りました。
神様はそれぞれの種族に特別な力を分け与えました。
エルフには優れた知識を、妖精には自然と触れ合う力を、巨人には強い武力を、魔人には魔法を、人間には永遠の命を与えたのです。
そして、神様は呪われし木という果実のなる木と、聖女の涙という一つだけ何でも願いを叶えてくれる宝玉を創りました。
それらを世界のどこかに隠しました。そして、神様は彼らに言いました。
「アダムとイブの果実を食べてはならぬ。食べてしまったら未来永劫、お主らの子孫全てに呪いが降りかかるだろう。聖女の涙を見つけたら、心清き女子に護らせろ。聖女が涙を流した相手、玉に選ばれし者の願いを叶えるだろう」
彼らは必死に聖女の涙を探しましたが、人間だけはアダムとイブを探しました。
人間は他の種族のように永遠の命ではなく、優れた力が欲しくて、果実をほかの種族に食べさせようと考えたのです。
人間がアダムとイブを見つけましたが、その果実の美しさに見惚れ、それをうっかり食べてしまいました。
そして、呪いで永遠の命を奪われてしまったのです。
一方、聖女の涙はエルフが見つけました。そして、それを持ち帰り、心清き女に護らせました。
しかし、誰が聖女の前に現れても聖女は涙を流すことはありませんでした。
その間にも、エルフから玉を奪おうと種族同士で戦いが起こりました。
それを見て、神様はつまらない世界ではなくなったとたいそう喜びました。神様の目的は最初から醜い争いを見るためだったのです。
そして今も神様は、空の上から世界を眺めて楽しく過ごしているというお話です。
*
「しきょーさま、アダムとイブとせいじょのなみだはどうなったのですか?」
最初のコメントを投稿しよう!