7割は宙からくる

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*  リコは仙人が壁に押しピンで貼り付けた絵をクルリと回した。オタマジャクシが7匹と、それを指す矢印。ドンが描いた絵だ。矢印が真上を向くように絵を回すと、オタマジャクシだと思っていたものが落ちてくる隕石のように見えてきた。仙人は感嘆の声を上げた。 「なるほど。矢印だと思っていたのは木だったのか。大きな木の向こうから7つの隕石が落ちてきておる」 「となるとマサの絵も正しい上下があるってことだよね?」ドンがマサの絵をクルクル回し始めた。リコの絵は棒人間がキラキラ光る何かを持っていることがほぼ間違いないので回す必要はないという結論に至っていた。 「ストップ!」仙人が大きな声を出してドンはピョンと飛び上がった。 「これは、曽木の滝かも知れんぞ」仙人は丸い雲から雨が降っている絵を逆さまにして、滝の下に丸いものが3つ横並びになる格好にした。 「関ヶ原の戦いで有名になった押川強兵衛というもの凄い力持ちが、曽木の滝の観音渕の対岸に3つの岩を並べたという逸話がある。昔と違って滝の流れが変わっているじゃろうから今は滝の下に岩が並んでいるわけではないがの」 もしそれが正しいなら、と、4人はしばらく絵を見つめてこの物語の筋書きを考えた。この絵には互いに関連性があって順番があるはずだ。マサは五右衛門風呂で見た光の映像を思い出した。この絵の謎を解くとこの締め付けられる胸の苦しさが解消されることが感覚的に分かる。 「例えばこの棒人間が持っているものが金だったら?」ドンが口を開いた。 「隕石関係なくない?」リコが即答した。 「オッケー。じゃあ隕石ね。今からどこに持っていくところ?いや、それともどこからか持ってきたところかな」ドンがリコに返した。 「強兵衛の石に持っていくところか、ここから持ってきたか。っていうかその前にこの3枚の絵だけじゃ分からないんじゃない?この絵の他にも私たちが見つけていない木の板があったら?ストーリーは完結しないわ」リコが言った。しばらく沈黙が続いた。
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