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3人はドンの家に集まっていた。
これまでドンが隕石の落下地点付近で拾ってきた石の欠片をリコが1つ1つ触って確かめている。しかしリコの顔は曇ったままだった。
「ダメね、どれも隕石じゃないわ」
平出水のカミナリ石に倒れ込んだ際、何かに引っ張られるように右腕がカミナリ石の脇に導かれ、下に落ちている石に触れた途端にこれが隕石だと確信する衝撃を感じた、とリコはマサとドンに説明していた。今確かめている石の欠片は、単なる本当の石の欠片だった。
「見つける隕石はあと1個だよ。もう一度現場に行って、リコにその辺の石を触ってもらうしかないのかな」
ドンもカミナリ石の隕石を触ってみたが、リコが言うような衝撃は感じられなかった。そのためドンは途方に暮れた様子でつぶやいた。
「現実的じゃないわね。何年かかるかしら」リコもがっかりしている。
その様子をマサは少し離れた所から見ている。自分の中のある意識が気になって仕方がない。ある意識とは、すでに隕石は全部そろっている、という感覚だ。移動博物館でやってくる隕石とリコが拾った隕石の他に、確かにあと1つ見つかっていない。けれどもマサにはそれをどこかで見た覚えがあった。それがどこであったのか、マサには思い出せないでいた。
「ねえ、聞いてるのマサ」
リコの呼びかけでマサは我に返った。
「毎年、夏休みっていろいろあるけどさ、今年ほどいろいろありすぎた夏はなかったよねって話をしてたわけ」ドンが言った。
マサはそれに大賛成だ。絵が刻まれた木片を見つけたり、友達がどんどん転校していくことが決まったり、五右衛門風呂でとんでもない幻影を見たり、今こうして隕石を捜している。こんなことがあり得るだろうか。仙人ですら説明ができないこの奇妙な一連の出来事はどこがスタートだったのだろう。マサはドンに意見を求めた。
「なんだか直感的に今まで行動してきたけどさ、よく考えると僕らもたいがい怖いことしてるよね。けっこう無茶もいっぱいしてる気がする。特に五右衛門風呂以降の僕らの行動力って何かに取り憑かれてるみたいだもの」
「そう言やそうね」リコが笑って同意した。
「でも不思議な力に操られていたって怖くないわ」
「アッ!」
マサが大きな声を出してドンとリコは持っていた石の欠片を全部放り投げてしまった。
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