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「そうだ、夏休みが始まったときからこれは始まってるんだ!」マサはまだ大きな声を出している。
「何がよ」リコは驚かされたことに少し腹を立てながら言った。
「終業式の日に」マサはあまりにも興奮していてうまく言葉が出て来なくなっていた。
「終業式って何かあったっけ」と、ドンもピンとこない。もう1ヵ月前のことだ。リコはおばあさんのお葬式の日を基準にして終業式の日のことを思い出そうとしている。
マサは自分の舌がうまく回るまで何度も深呼吸をして、できるだけ短い言葉で1回で分かるように2人に丁寧に話すよう心掛けた。
「終業式の日、リコに連れられて南永の綺羅綺羅橋の下の石橋に潜って、リコのおばあさんの形見を見つけ出したよね。リコ、そのペンダントは隕石だ」
リコの目は点になり、ドンは口を大きく開けている。
「ずっと気になっていたんだ。あと1つ隕石を見つけなければならないのに、僕はもうとっくに見つかっている気持になってた。どこで見かけたか思い出してたところだったんだけど、分かったよ、今のリコの言葉を聞いて。」
リコは自分が今さっき何を言ったか思い出せない。
「不思議な力でも怖くないって言ったのは、おばあさんがそう言ったからだよ。思い出してリコ。おばあさん、病院で『ペンダントの不思議な力を怖がらず受け入れなさい』って言ってたんでしょ」
リコもドンも無意識のうちに背筋を伸ばした。喉の奥に詰まった何か大きなものを呑みこもうとしている表情だ。
「おばあちゃんはこれを予感してたってこと?知ってたってこと?」リコの声が震えている。マサは「おそらく」と言い、「たぶんもっとずっと前からだ」と続けた。
「ドンちゃんが見つけた消える絵の木片だって2,000年以上前のものだったのに、まるでのちの世に隕石7つ落ちて、そのうちの3つを3人が見つけて、今日こうなることを予言していたみたいじゃないか」
マサの頭はとてもクリアだった。
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