7割は宙からくる

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「きちんと説明はできない。でもペンダントの…隕石の不思議な力を僕らは怖がらず受け入れて、今がある」  マサが「あとは移動博物館の隕石をどうやって借りるか」と言いかけたとき、玄関のドアを蹴破る勢いで2軒先の造園業を営むオヤジさんが飛び込んできた。 「大変だぞ、曽木の滝のすぐ上流にメタルレア社のブルドーザーだ!買った土地をどうしようが勝手だって、座り込みしてる住人に突っ込もうとして、なんてやつらだアイツら!」 そこまで言って、子どもが3人しかいないことを知ると、オヤジさんはドンの父親に連絡してすぐに現場に来るように伝えてくれと言い残してまた飛び出していった。  一刻の猶予もなさそうだ。3人は顔を見合わせて、それぞれ走った。ドンとリコは隕石を持って押川強兵衛の力石のところへ。マサは移動博物館の準備をしている父親のもとに走った。 *  マサの父親は移動博物館を企画している1人だ。やると決めてしまった以上、中止する選択肢はない。来場者数が少なくても、人手不足でも、どんな状況でもやらなくてはならないのだが、移動してくる博物館としても、メタルレア社で揺れに揺れている伊佐市において展示物の安全が確保できるのか不安なものだ。マサの父親はその対応にも追われていて、ここ1ヵ月は家で父親を見かけないほどであった。  移動博物館の展示物は概ね配置が完了し、解説のパネルを設置する段階に来ていた。マサの父親は1人作業を進めていた。これが終わったらセキュリティを警備会社に引き継いで、一刻も早く曽木の滝上流に向かわなければならない。そのためマサの話はほとんど耳に入ってこなかった。しかし、マサが最後に「だから隕石を少しの間だけ貸して」と言った言葉には鋭く反応した。
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