7割は宙からくる

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「この端っこの石から数えて8個目、そこから下に数えて4個目の…あった!ホントにあった!この出っ張りだわ」 リコが少しだけ飛び出した石を何度か小突くと、その石はコツコツとすき間を作り始めた。 「引っ張り出したいの?何か棒を差し込んでみようか」 マサは石のすき間に入るような手ごろな木の枝を拾い集め、リコと場所を交代して少しずつすき間を広げる石の周りに具合よく差し込んでいった。1センチほど石が出てきたところで 「ドンちゃん、手の大きい人、引っ張り出せる?」 と、アーチの下を交代したドンは上下左右に石をガタつかせながら、遂に石を1個、石橋から引き抜いた。 「すごいジェンガだった」 とドンは引き抜いた石をリコに渡した。 リコは最後の数日、祖母が自分にしてくれた話を2人に語って聞かせた。おばあさんのおばあさんから受け継いできた特別なペンダントがあって、それはリコに受け継がれるものであること。ペンダントを手にするとき、マサとドンを連れて行くこと。ペンダントの不思議な力を怖がらず受け入れること。 「最後のやつ、なんかちょっと怖いね。どういう意味だろう」 ドンが顔を歪めて言った。「わかんない」リコが言った。 「どうしてこの石橋に隠してたかって、聞いた?」 マサが石橋を見ながらリコに尋ねた。 「うーん。聞いたけどよくわかんなかった。戦争や災害でいつ家がどうなるか分からなかったから、家には置いておけなかったっていうのは分かったんだけど…」 「けど、なに?」 「石橋の上の橋が綺羅綺羅橋って名前だなんて分かりやすいでしょって言ってた。」 マサとドンは顔を見合わせた。 「確かに、意味不明。」 手に持っている石をひっくり返しながら観察した後、おもむろにリコは石を振り上げ、思い切り川床の石めがけて投げつけた。四角く成形された石橋の石は砕け散り、その中から古い鎖に繋がれた親指の爪ぐらいの小さな黒い石が飛び出してきた。拾い上げるリコの手の中の石を見ながら、マサはそれがつるりとした川石に似ていると感じた。 「すごいね、リコのおばあちゃん。リコに本当にペンダント残してた。」 ドンがつぶやいた。一呼吸置いた後、リコは実に清々しい表情で号令を出した。 「2人とも、本日はご苦労!」
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