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「そうなんだ。…海斗さん、意外に遊んでいるよね」
「こーら。大人にはいろいろあるんだよ」
「へー」
「美月ちゃんは、世界が終わるまで何がしたい?」
白い目で私が見つめると、ばつが悪くなったのか焦ったように話題を戻した。
「私は…」
(海斗さんとずっと一緒にいたい)
心の中にすぐに浮かんできた言葉を思わず首を振って打ち消す。
ただ笑って、いつもとふざけたように返そうと思って、口を開いた。
「私は海斗さんとたくさんデートしたいな」
無邪気な笑顔でとっさに言った言葉の意味に気づいて、顔が真っ赤になっていく。
海斗は少し驚くように、目を大きくさせていた。
(何を口走ってしまったの、私!)
「あの、その。…私、そう!海斗さんみたいな彼氏を作ってデートしたかったなって」
「そっか」
驚いた顔から、いつもの笑顔に戻った海斗を見て、ホッとした。
「ねぇねぇ、私のわがまま聞いてくれるんでしょ?だったら、彼氏とするようなデートして?」
にっこり笑いながら、上目遣いでお願いしてみる。
(絶対、やんわり断られるけど、これぐらいの冗談だったらいいよね)
そう思いながらも、心臓が再び鼓動が早くなっているのがわかる。
「いいよ」
「…え?」
「美月ちゃんの彼氏」
「本当に?」
「…妹のわがままは聞いてあげないとね」
そう言いながら笑う海斗を見て、夢でも見ているような気がした。
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