第2話

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いつも通り、私の家へ海斗は送ることになった。バイト中も、片付けの時も、海斗は何も変わらず接していた。昨日のことが本当に夢だったのではないかとサッカーしそうになる。 2人並んで、家を目指して歩く。また少し伸ばせば手の届くところに海斗の手がある。海斗から手をこと伸ばされることはないだろう。 私は昨日、出なかった勇気を振り絞って立ち止まった。 立ち止まった私に気づいて、海斗が振り返る。 「海斗さん、手を、手を繋いでもいいですか」 俯いて、海斗に向けて手を伸ばした。 「昨日の約束、彼氏になってくれるんですよね?」 どのくらい私の顔が赤くなっているのだろうと思いながら、恥ずかしくて海斗の顔を見ることができなかった。 海斗は私の前まで来て、差し出していた右手を軽く握る。 握ってくれたと思い、顔を上げようとしたら思いっきり右手を引っ張られる 「うわ!」 体勢を崩した私は、いつのまにか海斗の胸の中にいた。 海斗の腕にぎゅっと抱きしめられている。 「手を繋ぐだけでいいの?」 優しく声をかけられ、思わず首を横に振る。 頭上でクスッと笑う声がしたと思ったら、腕を離された。名残惜しく思ったが、海斗が私の右手を握り歩き出した。 (このつなぎ方って…) 握られている手を凝視している私に気づいたのか、海斗はにっこり笑っていった。 「恋人つなぎ。やったことないの?」 互いに指を絡ませて繋ぐ、恋人たちの手のつなぎ方。 嬉しすぎて、頭がついていかなくなった私はただ歩くことに集中した。 ここから私たちの恋人生活(仮)は始まった。 世界の終わる日までこの恋はどうなるかわからない。 だけど、どんな結果になろうとも、私の最初で最後の恋になることは間違いない。
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