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病院に着くと姉の面会時間を確認して、ナースステーションに面会を申請する。
病室へ向かう途中の廊下で、姉に遭遇した。
「ちょっと、遅かったじゃないの。」
姉の言葉に思わず勢いよくゴメン!と頭を下げた。
「カイリくんに捕まってたんじゃない??」
図星を突かれてつい、頭をかいてしまった。
「あ、いや……誘われたけど断ったよ。」
ふと、視線を下げると姉の手元に抱えられたモゾモゾと動いて泣き出してしまった赤ちゃんの声にハッとした。
「さあちゃんは、可愛いね。カイリも会いたがってたよ。」
「明後日には退院するから、あんたも手伝いなさいよ。」
(昔から姉には逆らえないんだよなぁ。)
「これ、頼まれもの持ってきた。
母さんは明日来れるらしい。」
「ありがとう。頼んで悪かったわね。
授乳してくるから、病室に荷物置いて
帰っていいわよ。」
「了解!」
姉は、サクッと授乳しに行ってしまった。
姉は、里帰り出産をして沙綾を産み3日経った。
回復力が早い姉は、安産過ぎて周りに驚かれている。
義兄は海外出張中で、まだ産まれた子供に会えていない。
母も父も仕事が忙しいせいで、姉のことは中々フォロー出来ず、僕が何かと姉に押し付けられている。
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