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峻輔は白紙の紙を見せ、
「入部テストにラブレターを書いて持って来いってさ」
「へぇ、部活っぽいな。提出はいつまでだよ?」
「あっ、聞くの忘れてた」
「もう一回行ってこいよ」
智久にそう言われるが、峻輔は中庭で、吹奏楽部員に声を掛ける原口を見つけ躊躇した。峻輔は今、声を掛けると怒られそうな気がしたので、適当にお茶を濁した。
「いやなんかおっかなそうな先輩だったからメールで聞くよ」
峻輔はそう言うと、スマホを取り出しメッセージを打ち始めた。
「ところで智久は部活、どうするんだよ?」
「多分、野球部に入るよ。もっと強ければ良かったけどな」
智久は校庭でノックのボールを簡単にエラーする野球部員に肩をすくめて見せた。
「課題は急ぎじゃないんだろ。だったら帰ろうぜ」
「あぁ、そうだな……」
峻輔は智久に言われ、メールの送信ボタンを押した。
二年生の織部芽衣が図書室に入ってきた。返却棚に溜まった本を眺めながら、軽く腕まくりをした。
「さぁ~て、仕事を始めましょうか」
そのタイミングで、メールの着信音が鳴った。
「ん?」
芽衣はスカートのポケットから、スマホを取り出すと、ボタンを押した。
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