大入高校文芸部

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『先ほど面接に行った新入生の山本峻輔です。入部テストの期限を教えて頂けませんか?』 「山本峻輔……? ……誰?」  芽衣は想像力を働かせ、貸出し机の上にあった文芸部ノートを開いてみた。そこには、でかでかと『原口参上!』の文字があった。 「……あぁ、原口来たんだ」  芽衣は悪戯っぽい笑顔を見せると、メールの返信を打ち始めた。  駅へと続く海沿いの道を、峻輔とスマホでゲームをする智久が、並んで歩いていた。智久は真っ白い紙に頭を抱える峻輔に軽口を叩いて見せた。 「そんなに悩むなよ。一目合ったその日から恋の花咲く時もあるで、十分だろ。……へへへ」 「やめろ、耳が腐る」  いなした拍子にメールの着信音が鳴った。峻輔は上着からスマホを取り出し、内容を読む。 『入部テストって何だっけ? by部長』 「はぁ、どういことだよ?」 「何だよ?」 「いや、文芸部の部長が物凄く物覚えが悪いんだよ」  峻輔は智久に愚痴りながら、返信メールを打ち返した。  図書室で、本棚に返却本を差し込んでいた芽衣が、メールの着信音に反応する。 「おっ、早いね」  芽衣はスマホを手に取り画面を眺める。 『ラブレターの課題の提出期限を、教えて頂きたいんですが宜しいでしょうか?』 「ふ~ん。課題はラブレターか。ふふふ、さすがは一年生、初々しい」     
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