相手は全社の人気者

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ついて行きたい気持ちが高ぶる、あなた、どこまで階段上がるんです?  商品部って2階でしょ。 細い背中がどんどん上がって行ってしまう。靴底鳴らす音が小さくなる。 あらら、今日はもう会えないかと思ったら。 「知ってる? 近所の肉屋さん」 手摺から、ひょいと顔を覗かせた。心臓に悪いです。あなた可愛いのに仕草までなんて。 「コロッケ、美味しいよ。食べたら? 木津くん」 腰が抜けるかと思った。あなた、とんでもない。 本当に笑顔を出し惜しみしないんですね。 名前呼ばれると期待します、止めて下さい、嬉しいけど。 「揚げたてがお勧め」 そうでしょうけど。見下ろす笑顔が可愛すぎます。手摺から滑らないで下さいね。 「定時で帰れたら、食べてみて。じゃあね」 また靴音が遠ざかる。 手すら伸ばせない全社の人気者はサービス過剰気味、誰にも落ちないと噂。 入社3年目でそろそろ主任職らしい。 しかしプライベートは謎だし不明。自分からも話さないと聞いていた。 スイーツを持参しても酒を飲ませても口を割らなかったらしい。 それだけ迫る人は多い。可愛いし何だか放っておけないからだろう。 彼女が居るのか知らないし、実は住んでるマンションすら不明だったのに。 自ら教えるなんて、あなた個人情報管理大丈夫ですか? 心配、不安、追いかけたいし追いつきたい。 何処まで行ったんだろ。見上げる天井は高くて白い。
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