相手は全社の人気者

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お昼に業務を持ち込むのが悪くて、差し入れにアイスクリームを買った。 「綺田さん、失礼します」 「うん?」 見上げた顔も抜群ですけど、お口に何かついてますよ。何食べているんです? お菓子系ですよね。 「何だっけ」 忘れるなんて酷いです。 「ああ、思い出した。ごめんね」 ああ、良かった。 「木津くんて私服のセンスあるよね。向かいのマンションから見た時、可愛いと思った」 違います、何見てるんですか、あなた何してるんですか。 「俺も黒い服が好きでよく着るけどさ。背丈がないから重いんだよね、見た目が」 見たい。 「ロングニットのカーデ、買ったんだけどね」 いいんじゃないですか? 「裾、引きずりそうなんだ」 可愛いです! 「で、何だっけ」 手にしているの、やっぱりお菓子じゃないですか。 「何? ああ、分かった」 ようやくですか。でもこの書類、今、渡したら油で染みません? 「食べる?」 あなたまたですか。 「遠慮しなくていいよ。何かね、皆がくれたんだ。ほら」 あなた受け取らないで。ゴミ袋なみにお菓子が詰まってますよ。そのまま捨ててきて。 「何、持ってるの」 ようやくか。果てしない道のりだった。 「バニラ、好きなんだよね。嬉しい。俺のかな? 期待していいかな?」 何でもあげますよ!
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