相手は全社の人気者

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『木津くん。商品部の綺田だけど分かるかな?』 お電話いただけるなんて恐縮です。 『お昼に貰った指図書の件だけど、覚えてる?』 あなた忘れてましたよね。 『工場に連絡したらね。何か、動かしてくれるって。良かったね』 あなた取引先にまで人気あるんですね。 『木津くんはラッキーだ』 倒れそう。 『納期間に合うから。もし駄目そうなら事前に連絡入るようにしてるから、また連絡するね』 納期遅れてくれないかな。 『ああ、そうだ。これを言わないと。重大案件があるんだ』 え、不都合が? 『駅からの帰り道にジェラート屋さんがあるんだ。ミルクが美味しいよ』 もう止めて。 『あれ? 返事しないね。俺のこと嫌い?』 「そんな訳ありませんよ!」 あ、大きな声出した。申し訳ない。 『木津くんて元気だね。見てると元気を貰えるよ。好感度高いよね』 期待していもいいですか? 『見た目も男前だし。もてるでしょ』 いいえ。ちいとも振り向いて貰えない気がしますよ。ねえ、あなた。 『彼女、いるのかな?』 そうしたい人はいますよ! 『居るなら羨ましいな』 言いますよ、告りますよ! 『見かけないから何処で会ってるのかな』 あなた何してるんですか。 『そうか、近くに住んでたりするのか。良かったね』 あなたねえ! 『近い方がいいよね。すぐ会えるしね』 会えていない気がひしひし伝わります。あなたお見かけしませんよ?  何処の部屋か聞きたいな。 『じゃあね』 またか!
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